スペアキーは、メインの鍵を紛失した際や、家族間で鍵を共有する際に非常に役立ちますが、その保管方法を誤ると、かえって防犯上のリスクを高めてしまう可能性があります。鍵屋のプロの視点から、スペアキーの正しい保管方法について解説します。まず、絶対に避けるべきなのは、玄関の郵便受けの中や、植木鉢の下、玄関マットの下、あるいはドアの上枠など、玄関周りの分かりやすい場所に隠すことです。空き巣などの侵入者は、こういった典型的なスペアキーの隠し場所を熟知しており、簡単に見つけ出されてしまう危険性が非常に高いです。また、メインの鍵と同じキーホルダーに付けて一緒に持ち歩くのも意味がありません。メインの鍵を紛失した際に、スペアキーも同時に失ってしまうことになるからです。では、どこに保管するのが安全なのでしょうか。最も推奨されるのは、自宅以外の信頼できる場所に預かってもらうことです。例えば、離れて暮らす両親や兄弟姉妹、あるいは非常に親しい友人など、万が一の時に連絡が取りやすく、かつ信頼できる人に預かってもらうのが理想的です。ただし、預ける相手は慎重に選び、合鍵を預かってもらっているという事実は、不用意に他人に話さないようにしましょう。もし、自宅で保管する場合は、普段あまり使わない引き出しの奥深くや、鍵付きの金庫の中など、簡単には見つけられない、かつ自分自身が忘れない場所に保管します。その際、防錆対策として、乾燥剤と一緒に密閉できる袋などに入れておくと良いでしょう。また、スペアキーはあくまで緊急用と考え、日常的に使用するのは避けるべきです。頻繁に使用すると、摩耗が進んだり、紛失のリスクが高まったりします。スペアキーの存在は、家族間でのみ共有し、その保管場所も限られた人だけが知っている状態にしておくことが、セキュリティを保つ上で重要です。