アシナガバチに刺された場合は、まず、安全な場所に避難し、落ち着いて応急処置を行うことが重要です。刺された箇所に針が残っている場合は、ピンセットや毛抜きなどで、慎重に取り除きましょう。針を無理に押し込んだり、指でつまんだりすると、毒嚢が破れて、さらに毒が注入されてしまう可能性があるため、注意が必要です。次に、刺された箇所を流水でよく洗い流します。これにより、毒成分を洗い流し、感染症を防ぐことができます。その後、刺された箇所を冷やします。氷水や保冷剤などをタオルで包み、患部に当てて冷やすことで、腫れや痛みを軽減することができます。抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬を持っている場合は、それらを塗布するのも効果的です。ただし、症状が改善しない場合や、全身症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。アシナガバチの毒は、人によってはアレルギー反応を引き起こすことがあります。これは、ハチ毒に含まれるタンパク質が、体内でIgE抗体と結合することで起こる反応です。一度アシナガバチに刺されると、体内にIgE抗体が作られ、次に刺された際に、より強いアレルギー反応を示すことがあります。このアレルギー反応が、全身に及ぶ重篤な状態をアナフィラキシーショックと呼びます。アナフィラキシーショックの症状は、刺されてから数分から数十分以内に現れることが多く、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下、意識障害などが起こります。アナフィラキシーショックは、命に関わる危険性があるため、迅速な対応が必要です。もし、アシナガバチに刺されて、これらの症状が現れた場合は、直ちに救急車を呼び、医療機関を受診する必要があります。また、アナフィラキシーショックの既往歴がある人は、エピペン(アドレナリン自己注射薬)を携帯し、万が一の事態に備えることが重要です。