鍵屋さんでスペアキーを作成する際、必ずと言っていいほど「元鍵(オリジナルキー)をお持ちください」と言われます。なぜ、既に持っている合鍵(スペアキー)からではダメなのでしょうか。それには、スペアキーの精度と安全性に関わる重要な理由があります。元鍵とは、鍵を購入した際に最初に付いてくる、メーカーが製造した純正の鍵のことです。一方、合鍵は、その元鍵を基に複製して作られます。この複製プロセスにおいて、どんなに精密な機械を使っても、ミクロン単位のわずかな誤差が生じる可能性は避けられません。つまり、合鍵は元鍵と全く同一ではなく、ほんの少しだけ形状が異なる場合があるのです。もし、その誤差のある合鍵からさらにスペアキーを作成すると、誤差がさらに拡大してしまう可能性があります。誤差が大きくなったスペアキーは、鍵穴にスムーズに入らなかったり、回りにくかったりするだけでなく、最悪の場合、鍵穴内部の精密な部品を傷つけてしまい、鍵全体の故障の原因になることもあります。また、鍵が正常に作動しない、あるいは無理に力を加えないと開け閉めできないような状態は、防犯上も好ましくありません。そのため、多くの鍵屋さんでは、お客様に安全で快適に鍵を使用してもらうために、そして鍵穴を長持ちさせるために、スペアキー作成は必ず元鍵から行うことを推奨しています。もし元鍵を紛失してしまい、手元に合鍵しかない場合は、鍵屋さんにその旨を正直に伝え、相談してみましょう。鍵屋さんによっては、リスクを説明した上で、合鍵からの作成に対応してくれる場合もありますが、その場合でも、作成後の動作確認はより慎重に行う必要があります。最も確実なのは、元鍵を大切に保管し、スペアキー作成の際には必ずそれを持参することです。これが、精度の高い、安心して使えるスペアキーを手に入れるための基本中の基本と言えるでしょう。