アシナガバチは、スズメバチ科に属するハチの一種で、日本全国に広く分布しています。その名の通り、長い脚が特徴的で、比較的おとなしい性格のハチとして知られています。しかし、もちろん毒針を持っており、刺されると強い痛みを感じます。アシナガバチの毒性は、スズメバチほど強くはありませんが、人によってはアレルギー反応を引き起こす可能性があります。刺された直後は、激しい痛みと腫れが生じます。刺された箇所は赤く腫れ上がり、熱を持つこともあります。通常、これらの症状は数時間から数日で治まりますが、人によっては、吐き気、めまい、呼吸困難などの全身症状が現れることがあります。これは、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤なアレルギー反応で、命に関わる危険性もあります。もし、アシナガバチに刺されて、これらの全身症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。アシナガバチの毒には、複数の成分が含まれており、それぞれが異なる作用を持っています。主な毒成分としては、ヒスタミン、セロトニン、ペプチド類などが挙げられます。ヒスタミンは、血管拡張作用や血管透過性亢進作用があり、刺された箇所の腫れや炎症を引き起こします。セロトニンは、強い痛みを感じさせる物質です。ペプチド類の中には、細胞膜を破壊する作用を持つものや、神経毒として働くものがあります。これらの毒成分が複合的に作用することで、アシナガバチに刺された際に特徴的な症状が現れます。また、アシナガバチの毒には、ハチ毒アレルギーの原因となるタンパク質も含まれています。このタンパク質が、体内でIgE抗体と結合することで、アレルギー反応が引き起こされます。一度アシナガバチに刺されると、体内にIgE抗体が作られ、次に刺された際に、より強いアレルギー反応を示すことがあります。