認知症の症状の一つである徘徊は、家族にとって非常に心配な問題です。特に、玄関から一人で外に出て行ってしまうと、事故や行方不明のリスクが高まります。そこで、近年注目されているのが、GPSを活用した徘徊防止対策です。GPS(Global Positioning System)は、人工衛星からの電波を利用して、現在地を特定するシステムです。GPS端末を身に着けてもらうことで、万が一、徘徊してしまった場合でも、スマートフォンやパソコンから現在地を確認することができます。GPS端末には、様々な種類があります。小型で軽量なペンダント型や腕時計型、靴の中敷き型などがあり、本人の状況や好みに合わせて選ぶことができます。また、GPS端末の中には、一定のエリアから出ると、家族に通知が届く「ジオフェンス機能」が搭載されているものもあります。これにより、徘徊の早期発見につながります。GPS端末を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。まず、バッテリーの持続時間です。頻繁に充電する必要がない、長時間のバッテリー駆動が可能なモデルを選びましょう。次に、防水性能です。雨の日や入浴時にも安心して使えるように、防水性能の高いモデルを選びましょう。さらに、GPSの精度も重要です。誤差が少ない、高精度なGPSを搭載したモデルを選びましょう。GPSを活用した徘徊防止対策は、家族の安心感を高めるだけでなく、本人の安全を守ることにもつながります。しかし、GPS端末は、あくまでも徘徊対策の一つの手段であり、万能ではありません。GPS端末を導入するとともに、日頃からの見守りや、声かけ、環境整備なども合わせて行うことが大切です。また、GPS端末の使用については、本人の尊厳に配慮し、事前にしっかりと説明し、同意を得ることが重要です。GPSは、徘徊対策に有効なツールですが、使用方法を誤ると、プライバシーの侵害につながる可能性もあります。正しい知識と理解を持って、適切に活用することが求められます。
認知症徘徊防止玄関対策GPS活用で家族安心