認知症の方の徘徊は、家族にとって大きな心配事であり、事故や行方不明につながるリスクがあります。徘徊を防ぐためには、玄関周りの環境を工夫することが重要です。まず、玄関ドアに、内側から簡単に開けられないような鍵を設置しましょう。二重ロックや、サムターン回し防止機能付きの鍵などがおすすめです。また、ドアチェーンやドアガードなどの補助錠も有効ですが、認知症の方が自分で外してしまう可能性もあるため、注意が必要です。より強固な補助錠を検討するか、鍵のかかる柵などを設置することも検討しましょう。次に、玄関に、認知症の方が一人で外出するのを防ぐための、物理的なバリアを設置することも有効です。例えば、玄関に鍵のかかる柵やゲートを設置したり、玄関の上がり框に段差を設けたりすることが考えられます。ただし、これらのバリアは、転倒のリスクを高める可能性もあるため、注意が必要です。認知症の方の状況に合わせて、慎重に検討しましょう。また、玄関周りの視覚的な工夫も効果的です。例えば、玄関ドアに「出口ではありません」と書かれた張り紙を貼ったり、玄関マットを、認知症の方が嫌がるような素材や模様のものにしたりすることも、徘徊を抑制する効果が期待できます。さらに、玄関にセンサーライトを設置することもおすすめです。夜間、認知症の方が玄関に近づくと、自動的にライトが点灯するため、徘徊の抑止力になります。また、センサーライトは、防犯対策としても有効です。そして、何よりも大切なのは、日頃からの見守りや声かけです。家族や周囲の人が、認知症の方に温かく接し、不安や孤独感を取り除くことで、徘徊のリスクを減らすことができるかもしれません。徘徊は、本人の意思とは関係なく起こってしまうことがあります。家族だけで抱え込まず、地域の支援機関や、専門家にも相談しながら、適切な対策を講じることが大切です。