マスターキーの仕組みとは?シリンダー錠の構造から解説

ホテルやオフィスビルなどでよく使われるマスターキー。1本の鍵で複数の部屋を開けられる便利な仕組みですが、その構造はどうなっているのでしょうか?多くの場合、マスターキーシステムはシリンダー錠を അടിസ്ഥാനとしています。シリンダー錠は、外筒(シリンダー)と内筒(ローター)の二重構造になっており、内筒に鍵を差し込んで回すことで、内筒が回転し、デッドボルト(かんぬき)が出入りして施錠・解錠される仕組みです。内筒には、複数のピン(タンブラー)が並んでおり、正しい鍵を差し込むと、ピンが適切な位置に押し上げられ、内筒が回転できるようになります。このピンの配置パターンが、鍵ごとに異なる「鍵違い」を生み出しています。マスターキーシステムでは、このピンの配置に工夫が凝らされています。通常、1つの鍵穴には、1種類のピン配列しかありません。しかし、マスターキーシステムでは、1つの鍵穴に複数のピン配列を持たせることがあります。具体的には、各部屋の鍵(子鍵)に対応するピン配列に加えて、マスターキーに対応する別のピン配列も持たせるのです。この「マスターキー用のピン配列」が、マスターキーが複数の部屋を開けられる秘密です。マスターキーを差し込むと、マスターキー用のピン配列が一致し、内筒が回転できるようになります。一方、子鍵を差し込んでも、マスターキー用のピン配列は一致しないため、他の部屋の鍵穴では内筒が回転しません。このように、シリンダー錠のピン配列を工夫することで、マスターキーシステムは実現されています。ただし、マスターキーシステムは、利便性が高い反面、セキュリティ上のリスクも伴います。マスターキーが紛失したり、盗難されたりすると、全ての部屋が不正に解錠されてしまう可能性があるため、厳重な管理が必要です。